犬のアトピー性皮膚炎とは?症状・原因・検査・治療法を獣医師が解説
犬のアトピー性皮膚炎は、遺伝的な体質を背景に、皮膚のバリア機能の異常、アレルゲンへの感作、免疫反応、皮膚の微生物バランスの乱れなどが複雑に関係して起こる、慢性的な炎症性皮膚疾患です。
特徴的なのは「かゆみ」です。
犬のアトピー性皮膚炎で見られる症状

犬のアトピー性皮膚炎の症状として、特に、
・足先をよく舐める・噛む
・耳をかゆがる
・顔をこする
・お腹や脇、内股が赤い
・皮膚が赤くなる
・毛が薄くなる
・慢性的になると皮膚が黒く厚くなる
・外耳炎を繰り返す
といった症状が見られます。
二次感染による悪化のケースも
また、掻き壊した皮膚にブドウ球菌やマラセチアなどが二次感染すると、さらにかゆみが強くなり、
「かゆい→掻く→皮膚バリアが壊れる→感染する→さらにかゆい」
という悪循環に陥ることがあります。
犬のアトピー性皮膚炎の診断

アトピー性皮膚炎には、「この検査が陽性ならアトピー」と決められる単独の検査はありません。
症状や発症年齢、季節性、生活環境などを確認しながら、
ノミ・ダニなどの寄生虫、食物アレルギー、細菌・マラセチア感染など、似た症状を起こす病気を除外して診断します。
アレルギー検査(血液検査や皮内反応)は、アトピー性皮膚炎そのものを確定するための検査というより、アレルゲン特異的免疫療法を検討する際に、原因となる可能性のあるアレルゲンを調べる目的で利用されます。
犬のアトピー性皮膚炎の治療

治療に関して、現在のところ完全に治すというより、
症状をコントロールしながら、ワンちゃんが快適に暮らせる状態を維持することを目標とします。
治療は大きく分けると、
1. かゆみ・炎症を抑える
2. 二次感染を治療・予防する
3. 皮膚バリアを整える
4. アレルゲンへの対応
5. アレルゲン特異的免疫療法
6. 再発・悪化因子を管理する
があります。
かゆみや炎症を抑える治療薬

オクラシチニブ(アポキル)・ロキベトマブ(サイトポイント)
かゆみを抑える代表的な選択肢として、オクラシチニブ(アポキル)などのJAK阻害薬や、ロキベトマブ(サイトポイント)があります。
どちらも比較的速やかにかゆみを抑えることが期待でき、急性の悪化時だけでなく、長期的なコントロールにも使用されます。犬によって反応には差があります。
ステロイド(副腎皮質ホルモン)
また、強い炎症や急激な悪化に対しては、ステロイド(副腎皮質ホルモン)が有効な場合があります。
一方で、長期使用では副作用に注意が必要なため、漫然と使い続けるのではなく、状態を見ながら使用量や頻度を調整します。
シクロスポリン
シクロスポリンも長期管理に用いられますが、効果が現れるまで数週間かかることがあります。
二次感染の治療と予防
アトピーの犬では、細菌性皮膚炎やマラセチア性皮膚炎、外耳炎を併発することがあるため二次感染をコントロールする必要があります。
この場合、単純に「かゆみ止め」を使うだけでは十分ではありません。
感染がある場合は、その原因に応じて抗菌・抗真菌治療を行い、シャンプーなどの外用療法を組み合わせることがあります。
再発を繰り返す犬では、定期的な薬用シャンプーなどが再燃予防に役立つ場合もあります。
犬のアトピー性皮膚炎におけるシャンプーの役割

シャンプーには、
・皮膚表面のアレルゲンを洗い流す
・余分な皮脂や汚れを落とす
・微生物の増殖を抑える
・皮膚を保湿する
といった役割があります。
特にアトピーでは皮膚バリアを整えることが重要なので、保湿成分を含むシャンプーや保湿剤を状態に応じて利用します。
AAHAガイドラインでも、保湿成分を含むシャンプーによる定期的な入浴が補助療法として挙げられています。
ただし、「アトピー=毎日シャンプーすれば治る」というわけではありません。
皮膚の状態や感染の有無によって適切な頻度・製品は異なります。
まとめ
アトピー性皮膚炎の治療は、「一つの薬で治す」のではなく、ワンちゃん一人一人に合った治療を組み合わせて、かゆみをできるだけ少なくすることが大切です。
「症状を抑える治療」と「再発しにくい皮膚を作る管理」を並行するのがポイントです。
なお、薬の種類や使用量は、年齢、感染症の有無、他の病気、症状の程度によって変わります。
特にJAK阻害薬、ステロイド、シクロスポリンなどは自己判断で使用・中止せず、獣医師の診察のもとで管理することが重要です。
かゆみには、アトピー性皮膚炎だけでなく、感染症や食物アレルギーなどが隠れている可能性もあります。
気になる症状がございましたら、お気軽に当院までご相談ください。
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